ファンの「担降り」「推し変」から起因する、オタ活と一次流通・二次流通の切っても切り離せない関係性

2020年06月09日

こんにちは、ラクマラボです。

「ラクマ」において、10代女性ユーザーの間で最も取引が盛んなカテゴリは「エンタメ・ホビー」カテゴリのタレントグッズです。以前の記事(10代の間でSNS映えが進化)で、JKのみなさんはスマホのカメラ機能や画像加工アプリを駆使して、SNSで映える推しグッズの撮影に日々精を出したり、自宅でライブDVDの鑑賞会をリモートで行ったりして、オタ活を楽しんでいることを紹介しました。

今回は、10代ユーザーの中で女子高校生を対象とした調査をもとに、タレントグッズの取引がなぜ「ラクマ」で人気なのか、その背景をご紹介していきます。

 

「ラクマ」でタレントグッズを買う理由は「値段がお手頃」、「他で手に入らないから」


2020年4月に「ラクマ」でタレントグッズの購入経験があるJKユーザー4,352名に「購入した理由」を質問しました。

購入理由

最も多かった理由は「値段がお手頃だから」(52.7%)でした。

一般販売されている商品の定価格と比べて「ラクマ」では販売価格が比較的安い商品が多く、お得に買えることが購入理由でした。これは、「ラクマ」の販売手数料が他のフリマアプリと比較して低いことも起因していると考えられます。収入に限りのあるJKにとって、価格の求めやすさは重要と言えそうです。

次いで2番目に多かった理由は「ライブ時の限定販売などで売り切れている商品だから」(45.3%)でした。

これは、アーティストのファンになる以前のライブグッズがすでに販売が終了されていて公式ショップなどで購入できない場合や、過去のライブ・コンサートに行きたかったものの、抽選に外れたなどの事情で参加できなかった、というファンにとってフリマアプリが重要な販路として活用されていると言えそうです。

次いで3番目に多かった「他で手に入りにくいアイテムだから」(38.9%)については、フリー回答によると買いたくても一般販売されていないグッズや、すでに解散している、または現グループ結成前の時代のグッズを購入したりする、という方が多いようでした。

「推し」のファンになるタイミングは百人百様で、その「時」がいつやってくるかは誰にも予測がつきません。推しを好きになったタイミングで、欲しいモノを欲しい時に探して手に入れることのできるフリマアプリは、オタクの需要に応えるマーケットとして、JKのオタ活に活用されていると言えそうです。

 

「ラクマ」でタレントグッズを出品する理由は「部屋の整理」、「お金が欲しかったため」


タレントグッズを「ラクマ」に出品する理由についても聞いてみました。

出品理由

ラクマでタレントグッズの出品経験者3,056名によると、最も多かった理由は「部屋の整理のため」が7割でした。

フリーコメントの回答によると「次から次へとコレクションが増えていくため、部屋に保管しておくスペースが足らなくなってしまい、泣く泣く手放すす」といったコメント多いようです。「しかし捨てることはできないので、同じ『推し』を応援するファンの人に持っていてもらいたい」、その心づけとして「できるだけ安い値付けで出品している」というコメントもありました。(これも、「ラクマ」ではグッズを安く買えることの原因の一つと言えるかもしれません)

2番目に多かったのは「お金が欲しかったため」で6割でした。

フリーコメントでの回答では「『ラクマ』で商品が売れると売上金が即日で収入になるため、お小遣いが尽きるタイミングや、すぐにお金が欲しい時には持っているグッズを手放してお金に換える」、といったコメントがありました。

以上のことから、「ラクマ」は欲しいグッズを安く手に入れて、お金が必要になった時には売って収入を得られるプラットフォームとして、オタクJKのみなさんにうまく活用されていることが分かりました。

 

「付いてくる特典」や「売上に貢献して金銭的に応援する」ことは、一次流通でしか得られない対価


アイドル・アーティストファンのJKのみなさんが、二次流通のフリマアプリを利用する理由について、お話しさせていただきました。

それでは、公式ショップなどの一次流通との使い分けはどうなっているのでしょうか。二次流通で安く手に入るのであれば、一次流通で新品を買う必要はないと考える消費者もいるのでは?という疑問が浮かんできます。

調査によって、一次流通と二次流通の相関性が分かってきました。

2019年5月に行ったユーザー調査によって、「ラクマ」のオタクJKの皆さんは一次流通で購入することをとても重視していることが分かりました。「好きなグループの楽曲はどの方法で買うことが多いですか?」という質問に対して8割以上の方が「CDを買う」と答えています。「CDを買う」と答えた人615名に理由を聞いたところ、「付いてくる特典が欲しいから(握手券など)」が4割、「売上に貢献して応援したいから」が3割近くを占めていました。

握手イベントなどは日程も決められており、買うタイミングが非常に重要です。そしてオリコンチャートの順位を上げるために新品のCDをたくさん買い、推しの売上に貢献すること。これも、二次流通では得ることのできない対価です。

 

ファンの「担降り・推し変」がもたらす、一次流通と二次流通の関係性


それでは、一次流通と二次流通はオタク市場の中でどのように関わっているのでしょうか。

関わるポイントとして大きく挙げられることの一つに、「担降り・推し変」があります。

「担降り・推し変」とは、アイドル・アーティストファンの間で使われる専門用語で、新しく特定のアイドル・アーティストを好きになった時、今まで応援してきたアイドル・アーティストから新しい対象へと「担当が変わる」ことを言います。「一人につき一人のアイドル・アーティストしか応援してはいけない」というルールは全くないものの、応援するファンにとっても金銭面や時間面でかけられるリソースには限りがあるため、必然的に「最も好きな人=推し」のポジションが移り変わることがあります。ジャニーズファンの間では「担降り」、女性アイドルなどのファンの間では「推し変」と言われることが多いようです。

ファンの間ではそんな「担降り・推し変」のタイミングで、今まで応援していた人のグッズを泣く泣く手放してフリマアプリに出品し、そこで生まれた売上金を、新しい推しのグッズ購入に充てる、という消費行動があります。前述のアンケート調査結果でも、「ラクマ」へグッズを出品した理由として「他の推しができたため」が第3位にあがっています。

このように、JKのみなさんのオタ活には、一次流通と二次流通がうまく活用されています。オタ活による消費が増えるにつれ、増え続けるグッズの物質的な整理や、感情面での移り変わりが生じるため、一次流通と二次流通は切っても切り離せない循環性があることが分かりました。

nijiryutsu

上の図を例にすると、一人目(ピンク)の人は、好きなアイドル・アーティストのCDやグッズを公式ショップやコンサート会場などの一次流通で購入し、タイミングが来た時にフリマアプリなどの二次流通に出品します。すると、そのアイドル・アーティストを後から好きになった2人目のファン(オレンジ)は、当時のグッズや限定品を二次流通で探して入手します。

ピンクの人は、出品したグッズの取引によって得た売上金を、一次流通で新しい「推し」のグッズ購入、つまり新作のCDや、コンサート費用などに充てます。

後発でファンになったオレンジの人も、新作の作品が出るタイミングからは一次流通でその「推し」のグッズ購入を購入し、何らかの形で「担降り・推し変」の状況が訪れる時まで所有します。

先ほど「ラクマ」で購入する理由に出ていたように、「後から好きになってしまったため、当時のグッズが既に売り切れているため、一次流通で買えない」というファンが後々出てくるため、タレントグッズにおいては、昔のグッズであっても需要が減りにくいという資産価値があります。

また、彼女たちが二次流通を利用する理由は、転売などの利益目的ではなく、純粋に好きになった推しのグッズを手に入れたい気持ちと、商品を捨てられない気持ちから生まれていることが分かります。

 

スマホやSNSが普及した今、10代にとっても趣味の活動にお金や時間をより費やしやすくなっていると言えます。「オタク文化」がJKの間で発展してきたとともに、フリマアプリはJKのオタク活動に一役買っている、と言えそうです。