ヴィンテージデニムに3,000万円?!VCM代表 十倍さんに聞く、初心者からのヴィンテージファッションの楽しみ方

2024年11月20日

こんにちは!ラクマラボです。すっかり寒くなって、重ね着やアウターファッションを楽しめる季節になりました。

「楽天ラクマ」ではさまざまなファッションアイテムが取引されていますが、実はここ数年「ヴィンテージファッション」のアイテムが人気です。

そこで、「ヴィンテージって何?」「どこから始まったの?」という素朴な疑問や楽しみ方について、日本で最大級のヴィンテージファッションイベントを主催されているVCM(ブイシーエム)の代表 十倍 直昭(とべ なおあき)さんに、「楽天ラクマ」とVCMで今秋に行った共同調査の結果もまじえて、お話を聞いていきます。

渋谷PARCOの4Fにある、VCMが運営するマーケット型複合ショップ「VCM MARKET BOOTH」、予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」にお邪魔してきました!

ヴィンテージファッションの発祥はどこの国?

ラクマラボ編集部(以下R): 早速ですが、いわゆる「ヴィンテージデニム」などと言われるヴィンテージファッションは、いつ頃に始まって、どこが発祥なんですか?

十倍さん(以下T): 「ヴィンテージ」というファッションジャンルは、1990年代に日本から生まれたという説が一般的です。

: え、アメリカじゃないんですか?!

: そうなんです。元々、アメリカでは作業着だったデニムに日本人が価値を見出し、「ヴィンテージファッション」というスタイルを生み出したんです。80年~90年代にアメリカでは安く扱われていたジーンズが、日本ではファッションとして注目され、高価格で価値が付いていました。これが90年代におこった「第一次古着ブーム」とも言われています。

それが、スマホの普及、SNSの流行によってしだいに本国のアメリカでも「日本ではこんなに高い値段で買われるのか」ということが分かるようになり、「ヴィンテージ」商品として一気に世界で人気が出るようになったんです。現在は世界的にもアジア諸国、ヨーロッパなどでもヴィンテージファッションは注目されていますよ。

: 物を大切にする心を持つ日本人の文化が「ヴィンテージファッション」を創り出し、価値として逆輸入された、というようなことなんですね!

初心者でも簡単!ヴィンテージファッションの楽しみ方

: 先日、VCMさんと弊社で楽天ラクマユーザーに向けて共同調査を行ったところ、「ヴィンテージファッションといえば?」の質問に、1位が草彅 剛さん、2位に菅田 将暉さん、3位に木村 拓哉さんという結果でした。

ヴィンテージファッションって「オシャレな人が楽しむ、ハイレベルでマニアックな世界」というイメージが強いのですが、どうやって楽しむのが正解なんですか?

: 僕のショップでもたまに質問いただくのですが、コーディネートや楽しみ方に正解なんてないんですよ。確かにヴィンテージデニムなどは、昔作られた物ですから、在庫を増やすことができないので、絵画なんかと同じで、希少性がどんどん上がって価格も高騰しているんですね。中には、3,000万円のデニムジャケットが売れたり、びっくりするような価格の物もあります。

ですが、数千円~1万円くらいで買えるTシャツなどをまずは買って、気に入ったらゆっくりと少しずつアイテムを増やしていく、という楽しみ方もあると思います。1カ月のお小遣いの中で買えるアイテムをコツコツ少しずつ買って、マイペースに取り入れていく方が、結果的に長く続けられる趣味になるかもしれませんね。

ヴィンテージにも、年代が古く希少なアイテムもあれば、「グッドレギュラー」と呼ばれる、比較的購入しやすい価格帯の良い品もあるんです。僕は、高価格帯のヴィンテージの名作が良いのはもちろんのこと、「グッドレギュラー」にも目を向け、新たな価値を見出すことにも楽しみがあるかと思います。

: なるほど!では、たとえばヴィンテージTシャツに合わせるボトムスやアウターは、どんな物がいいんですか?

: それも正解はなく、ヴィンテージTシャツだからボトムスもヴィンテージのデニムじゃないといけないとか、そういう理論は全くなく、お好きなスタイルに合わせて、楽しんでいただくのが良いと思います。とくに僕が好きで提案しているスタイルは、ヴィンテージアイテムにラグジュアリーブランドのアクセサリーやアイテムを掛け合わせで身につけるというスタイルです。これも人それぞれの好みですので、型にはまらないファッションをぜひ自由に楽しんでいただきたいですね。

コアなファンはどこでどうやって買い物をする?

R:先日の御社との共同調査の結果では、「ヴィンテージアイテムを普段どこで購入するか」(複数回答可)と質問したところ、「フリマアプリ」(77.8%)と回答する人が最も多く、次いで「店舗」(66.2%)という結果でした。ここ数年で古着屋さんなどのリユース事業者が「ラクマ公式ショップ」として「楽天ラクマ」に出店することも増えており、全国の古着屋さんの商品がフリマアプリで買えることも影響があると考えられますが、この結果について、十倍さんはどう思われますか?

T:ここ数年で特にコロナ禍を経て、消費者の行動もEC化が進みましたし、古着業界としても事業者の仕入れ・買付がEC化したんですね。コロナ禍中は買付するのに海外へ渡航できなくなりましたから、バイヤーたちも写真で商品を見て、送金して、物を日本に送ってもらうことが当たり前になりました。そして、フリマアプリに出店したり、市場価格をチェックしたりするようなことも増えたんです。なので、フリマアプリは消費者の方にとっても、お店側にとっても、便利なプラットフォームになっているのは間違いないと思いますね。

ただし、ヴィンテージは1点物という特性上、やはりリアルに見て、スタッフさんとコミュニケーションを取りながら買い物をするという楽しみもあります。ECとリアル、どちらもそれぞれうまく取り入れてヴィンテージの買い物を楽しんでいただけるといいなと思います。

ヴィンテージアイテムは、EC(ネット)での買い物に向いている

R:ヴィンテージアイテムを購入する販路として「フリマアプリ」と答えた人が最も多い中、インターネットで見つけたヴィンテージアイテムを「買う前に実際に見てみたい、試着してみたい」と思う人は、「とても思う(51.5%)」「やや思う(35.0%)」を合わせて8割以上の結果でした。ECを通じた購入が一般化している一方、購入においては試着の需要が高いことが分かったのですが、フリマアプリとしてこのボトルネックを解消する策はあるでしょうか?

T:もちろん、実際に目で見たほうが色合い、風合いなどは分かりやすいのは確かですよね。例えば僕の場合は、リアルでの買い物はもちろんですが、自分にフィットするサイズ感が分かっていえば、ECでも抵抗なく買い物することができます。

新しいブランドだと、サイズもまちまちだったりすると思いますが、「Levi’sの501なら、このインチ数が自分サイズだ」と分かっている物ならば、着なくても分かるんです。実は、ヴィンテージファッションはECでの買い物に向いていると思います。

ヴィンテージの代表格と言えば、デニム。
左は1950年代501XX、右は1950年代506XX

第二次ヴィンテージブームの到来?ヴィンテージファッションのこれからのトレンドは

R:今「第二次ヴィンテージブームだ」と言われたりしていますが、これからヴィンテージのトレンドはどうなっていくと思いますか?

T:僕は今のトレンドは、もはや「ブーム」だけでは片づけられない、一大文化になっていくと思います。1980年後半~90年代にヴィンテージブームに火がついて、オシャレな人や芸能人がこぞってアメカジのヴィンテージデニムなどを着るようになり、ヴィンテージファッションが広く知られるようになりました。そして、2000年代にDior hommeをはじめとするブランドがスキニーデニムのようなタイトなファッションを世界的に流行させて、この時代はメンズファッションも「タイト&スリム」が良いという風潮になりました。すると、80年~90年代のダボダボのデニムジャケットやジーンズは野暮ったく見えるようになったんですね。

古着業界にとっては暗黒時代と言っても過言ではないのですが、これまで重宝されていたヴィンテージアイテムは、時代の需要から少しずれてしまった、という流れになってしまったんです。

ですがまたその後、「オーバーサイズ」が好まれるようになって、女性もメンズ物を好んで着たりする時代になっています。

R:流行は巡り巡るんですね。

T:はい。でも、また「タイトジーンズしか履かないぞ」というように、誰もかれもが一律でタイトなシルエットの服を着るような流行がくるとは僕は思いません。今は皆が多様なスタイルを楽しむようになっているので、皆が同じ格好をすることはなくなってきています。

2000年代に流行ったタイトなファッションですら、今はもう20年以上前のアイテムで、それこそ「ヴィンテージ」と呼ばれる商品も出てきているのです。ファッション業界も、新しいスタイルを生み出すことはもちろんですが、過去の名作を改めて復刻するような流れなども出てきています。「良い物は良い」というのは、時代が変わっても変わらないと思うので、今後もますますヴィンテージの価値は高まっていくと思います。

R:初心者の私にも、「ヴィンテージファッション」の世界がとても分かりやすく理解できました。
本日はありがとうございました!

⼗倍さんの運営する予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」では、ヴィンテージエルメスジュエリーが多数取り揃えられている
1960年代の「SPRUSE」社製のスヌーピーのスウェット

■十倍 直昭(とべ なおあき)氏 プロフィール

株式会社VCM代表。2008年にVintage Select Shop「Grimoire」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム 「VCM (Vintage Collection Mall)」 を立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催。また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やアポイントメント制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペースとして「VCM GALLEY」を運営する。

■「楽天ラクマ」内でヴィンテージ商品の掘り出し物を探してみよう

特設サイト: https://rakuma.rakuten.co.jp/info/campaign/vintage/20240927/ 

(注)「ヴィンテージファッションに関する意識調査」
調査対象者: 「楽天ラクマ」ユーザー
回収サンプルサイズ: 266サンプル
調査期間: 2024年9月6日(金)~2024年9月11日(水)
調査実施機関: 「楽天ラクマ」

調査結果はこちらのプレスリリースに記載されています。